民間から公務員に転職は可能?働きなら中途採用試験を突破する方法を解説【実体験】

公務員に転職したいけど、年齢制限ありそう。
社会人の私でも挑戦できる方法はあるのかな?

2024年の国内企業の早期・希望退職募集は3年ぶりに1万人を超え、前年の約3倍に急増しています。

業績が好調な大企業でも事業構造改革、生産性向上などを目的とした人員削減が行われいるのが実態です。
この流れはこれからも続くでしょう。

しかし、40代以降になると、再就職先を探すのも難しくなってきます。
では、我々は、どのように対策を考えるべきなのでしょうか。

安定を最優先とする場合、転職先の候補のひとつとして、公務員という仕事は最も魅力的な仕事のひとつになります。
昨今の公務員試験はキャリア活用採用や就職氷河期世代採用など、様々な名称の試験により中途採用の門戸が広がっているのです。

この記事を書いた人

キャリアアドバイザー
IT系の民間企業に20年勤務(転職有り)
 公務員8年勤務
働きながら公務員への転職を志す
半年間勉強し県庁と市役所をW合格

目次

公務員の「中途採用試験」は検討する価値アリ?

公務員の中途採用があるのは分かったけれども、試験も難しいであろうし、倍率も高そう。
現実的には難しいのでは?

そのように感じる方もいらっしゃるかもしれません。

筆者は、仕事をしながら半年間勉強をして、42歳で試験に合格しました。
そう。公務員の中途採用試験合格は、決して実現不可能な選択肢ではないんです。

本記事では、中途採用試験の概要や、合格という実体験に基づいた効果的な勉強方法などをご紹介いたします!

中途採用試験の概要

実は、令和5年度は約8割の自治体で、中途採用試験が実施されているのです。
中途採用試験は、一般の採用試験よりも年齢上限が高く設定されており、上限が59歳自治体も多いです。

また、 医療、福祉、技術系など、専門性の高い職種では、一般行政職に比べ、年齢制限が緩やかである傾向があります。

さらに、特定の時期に社会人となった「就職氷河期世代」を対象とした採用試験を実施している自治体もあります。

うさこ

なんで年齢制限を緩和して、社会人経験者を採用する自治体が増えているのかな。

なつき

少子高齢化により公務員受験者数が減少する一方、業務量は増えているので、即戦力を採用する必要性が高まっていると思われるよ。

実施状況と採用倍率

総務省の総務省の「地方公務員における働き方改革に係る状況」によると、令和5年度に自治体が実施した中途採用試験の結果は以下の通りです。

受験者数:76,471人(前年度比:−3,456人)
採用者数:11,311人(前年度比:+1,957人)
採用倍率:6.9倍(前年度比:−1.8ポイント)

※対象団体:都道府県(47団体)、指定都市(20団体)、その他の市区町村(1721団体)

中途採用試験の受験者数は、令和2年度の98,455人をピークに減少しています。
一方、採用者数は年々増加傾向です。
このため、採用倍率も令和2年度の11.8ポイントから徐々に下がっています。

引用:総務省 地方公務員における働き方改革に係る状況

中途採用試験は、都道府県や政令指定市では全団体で実施されています。
また、市町村での実施数も年々増えております。
受験者は減る一方、試験実施団体は増えているので、合格しやすくなってきているといえます。

引用:総務省 地方公務員における働き方改革に係る状況

試験科目

中途採用試験における学科試験は、マークシート方式の一般教養試験が主流です。
一般教養試験で合格点以上の者に対して、論文や面接などの二次試験を行うことが多いです。

試験内容概要

  • 教養試験(マークシート方式
     一般知識(人文科学、社会科学、自然科学、時事問題など)
     一般知能(文章理解、判断推理、数的処理、資料解釈など)が出題されます。
  • 論文試験
     経験論文や課題論文など、特定のテーマについて論述する形式が多いです。
  • 適性検査
     教養試験の代わりに民間企業の適性検査を導入する自治体も増えています。
  • 別面接
     個人面接、集団面接、グループディスカッション、プレゼンテーションなどがあります。
  • 専門試験(筆記)
     特定の職種(行政、土木、建築、福祉、心理など)で課されることがあります。

実施時期
  中途採用の場合は、年に複数回(春期、秋期など)実施されることがあります。

なお試験内容は自治体や職種によって試験内容が異なります。
加えて、「職務経験○年以上」「専門資格の取得」など前提条件がある場合があります。
各自治体のウェブサイトで、最新の「採用試験案内」をダウンロードして確認しましょう。

中途採用試験の対策方法

合格率は年々高くなり受験しやすくなってきているとはいえ、中高年で一発合格するには、工夫と努力が必要です。
受験日をターゲットとして勉強の計画を立てて、勉強時間を確保し、効率良く勉強するために以下のステップが有効です。

1.選考試験の時期・内容を確認する

働きながら受験をする場合は、試験勉強の時間が限られるため、あらかじめ受験する自治体の試験科目を把握することが大切です。
教養試験は、幅広い分野から出題されるため、合格点を取るためには、過去問や予想問題集などを中心に対策を練ることが必要です。
また、論文、面接などを中心に、その人のキャリアが自治体の行政にどう活かせるかを中心に選考されることになるため、
自己PRや面接試験の準備を念入りにする必要があります。

2.現在から逆算して受験日までの勉強計画を立てる

受験科目を調べたあとは、現在から逆算して勉強計画を立ててみましょう。
年2回受験が可能な自治体もありますので、無理のないスケジュールで準備ができる受験日程の自治体を探してみるのもおすすめです。

勉強計画を考える際のポイント

・平日、土日何時間くらい勉強時間に当てられそうか。
・仕事の繁忙期でも勉強は継続できそうか。
・家族の協力は得られそうか。
・勉強に集中できる場所は作れそうか。

3.勉強方法を検討する

勉強方法は、独学、通信教育、予備校が選択肢になります。

それぞれメリット・デメリットがあるります。予算や期間などから、ご自身に合った勉強方法を慎重に検討しましょう。

1️⃣独学方式のメリット・デメリット

メリット:

  • 費用が最も安い: 参考書や問題集の購入費用のみで済み、経済的な負担が少ない
  • 自分のペースで学習できる: 好きな時間に好きなだけ勉強でき、仕事や家事との両立がしやすい
  • 苦手分野に集中できる: 自分の弱点を集中的に補強するなど、柔軟な学習計画を立てられる
  • 場所を選ばない: 自宅やカフェなど、どこでも学習を進められる

デメリット:

  • モチベーション維持が難しい: 一人で学習するため、途中で挫折しやすい
  • 情報収集が大変: 試験情報(試験日程、傾向、変更点など)や、各自治体の求める人物像などの情報収集を全て自分で行う必要があります。
  • 質問できる相手がいない: 疑問点が生じても、すぐに解決できない場合がある
  • 効率的な学習がしにくい: 出題傾向や重要ポイントを自分で見極める必要があり、非効率になる可能性がある
  • 面接対策が手薄になりがち: 面接練習や客観的なフィードバックを得る機会を得ることが難しい

2️⃣通信教育方式のメリット・デメリット

メリット:

  • 費用は独学よりかかるが、予備校より安い: ある程度のコストはかかりますが、対面授業のある予備校よりは抑えられる
  • 場所を選ばない: 自宅で自分のペースで学習できる
  • 体系的なカリキュラム: 合格に必要な知識が体系的にまとめられており、何をどこまで学習すれば良いか明確である
  • 質問サポートがある場合が多い: 疑問点をメールや専用システムで質問できるサービスが提供されていることが多い
  • 教材が充実している: オリジナルテキストや問題集、模擬試験などが提供されることが多い

デメリット:

  • 自己管理能力が必要: 決められたスケジュールで進めることが求められるため、モチベーション維持が大切
  • 質問の回答に時間がかかる場合がある: 対面で直接質問するのと異なり、タイムラグが生じることがある
  • 面接対策が限定的: 面接対策のサポートは手薄な場合がある(オプションで追加できることもある)
  • 最新情報への対応: 試験制度の変更などがあった場合に、教材の更新が遅れる可能性がある

3️⃣予備校方式のメリット・デメリット

メリット:

  • モチベーションを維持しやすい: 同じ目標を持つ仲間や講師と直接関わることで、学習意欲を保ちやすい
  • 体系的なカリキュラムとプロの指導: 合格実績のある講師陣による質の高い授業を受けられる
  • 最新情報が得られる: 試験に関する最新情報や、各自治体の動向、合格者のデータなどをいち早く得やすい
  • 質問しやすい環境: 疑問点をすぐに講師に質問して解決できる
  • 面接対策が手厚い: 模擬面接や個別指導、ES(エントリーシート)添削など、手厚い面接対策を受けられることが多い
  • 強制力がある: 決まった時間に授業があるため、学習習慣が身につきやすい

デメリット:

  • 費用が最も高い: 受講料が高額になることが多く、経済的な負担が大きい
  • 場所や時間に制約がある: 決まった場所、決まった時間に授業を受ける必要がある
  • 自分のペースで進めにくい: 集団授業のため、個人の理解度に合わせて進度が調整されない
  • 通学の手間: 予備校までの交通費や移動時間がかかる

短期間で合格を目指すなら

仕事をしながら効率的に合格ノウハウを学びたい、短期集中で受験勉強をしたい、という場合は、予備校をお勧めします。
筆者も大手予備校に通い、働きながら半年で2自治体に合格しました。

短期間で合格するために活用するべき予備校のサービス
・応募資料や論文の添削指導
・講師を試験管に見立てたによる模擬面接

・受験者同士の集団討論練習

※予備校や対策コースによって含まれないものもあるので、詳細は個別に確認してください。

しかし、近くに予備校がない場合は、通信講座も選択肢になりますね。
通信講座と予備校について、実際に比較検討した結果のオススメをご紹介いたします。

通信講座を徹底比較

予算を掛けずにマイペースで勉強をしたい場合は通信講座を検討しましょう。
コスト重視の場合はスタディングやユーキャン、通学並の品質を求める場合は、LECがおすすめです。

通学型の予備校を徹底比較

合格のためには予算を掛けてもよいという場合は、断然予備校をオススメします。
通いやすいことが大前提ですので、通勤圏内に予備校があればそこを選択するのが良いでしょう。
もし複数選択可能の場合は、サポートが充実しているTACをオススメします。

現役合格をするための効果的な勉強方法

学科試験対策は頻出問題を把握し、早めに着手しよう

まずは、受験する自治体に対応した学科試験対策本を早めに一通りこなしましょう。
苦手な単元や解けない問題があってもそこで止まらず、どんどん進めて全体像を把握することが大切です。

次に、二周目は、頻出問題や必ず解くべき基本問題を中心に理解するまで学習しましょう。
学科試験の1ヶ月前までには、二周は完了しましょう。
そして、予想問題や模擬試験などを受験し、時間配分を意識した効率よく解くテクニックも体得しましょう。

本番対策と並行して、苦手な問題や過去に間違った問題を集中的に復習しましょう。
この際、あくまでも、社会人向け試験対策本の問題を解くことが大切です。

筆者は、数的推理が非常に苦手であったため、高卒用の公務員試験問題集を解いてみましたが、逆に、その方が数学的に難易度が高い問題が多かったため、効果がなかったです。

朝活、隙間時間を徹底的に活用しよう

早朝は、仕事の割り込みも入らず、頭脳も疲労がなく集中力が高いため、非常に効果的に学習が可能になります。
働きながら、1年以内に合格を目指すのであれば、朝1日2時間は勉強時間を確保することが理想です。
筆者は朝4時に起きて勉強時間を作りました。

また、通勤時間や夜寝る前の時間などの隙間時間にはスマホアプリで一問一答を行うなど、学習した知識を記憶として定着される時間として使うことが有効です。

スマホを使うことが出来ない場合は、音声で学習するのも良いでしょう。

重要な単元や苦手な分野は手書きのノートを作ろう

講義動画を見たりやテキストを読むだけでは、理解が難しい分野は、自分で学習内容を説明するためのノートを作成しましょう。文字を書く、表にまとめる、カラフルなマーカーで線を引く、など手を使ってアウトプットすることで理解が深まります。

筆者も頻出分野や間違った問題をまとめたノートを作り、試験会場に持ち込み、試験直前まで眺めていました。
印刷された活字より、手書きの文字の方が、印象に残り、記憶として定着しやすいです。

模擬試験は早めに受験しよう

大手予備校などで実施される模擬試験は、どんどん受験しましょう。
まだ学習途中であっても構いません。
おそらく解けない問題が多く、合格レベル判定で低い値が出るかもしれません。
しかし、本番で合格点を取ればいいだけなので、勉強途中の模試の結果で一喜一憂することには意味がありません。

模試で出された問題は、予備校講師が過去問などを分析して頻出問題を厳選した良問です。
時間内に解けましたか?選択問題は自信を持って回答できましたか?
間違った問題は、解説を熟読し、完璧に解けるようになるまで、繰り返し解きましょう。

筆者も夏頃に模試を受験し、合格判定Eランク(合格率低い)でしたが、実際は合格できています。
要は、この試験結果を本番にどう活かせるかが勝負なのです。

予備校、通信教育のサービスは徹底的に使い倒そう

職務経験者の採用試験の場合は、筆記試験は単なる足切りです。
筆記試験は合格ラインで突破すればいいので、選択と集中で効率よく勉強を進めましょう。

合否の分かれ目となるのは、論文や面接です。

このため、予備校や通信教育では、論文対策や面接対策の科目、志望動機文の添削指導などのサービスがある場合は徹底的に活用しましょう。論文も面接も他者に見てもらうことでしかスキルを上げることが出来ません。

受験1週間前からは、追い込み勉強時間を確保しよう

試験日1週間前からは、終日試験対策時間に費やしましょう。
公務員の切符を手に入れるためには、とにかく筆記試験という第一関門を突破しなければなりません。

今までの勉強を無駄にしないためにも、ラスト1週間でテキストや問題集、模擬試験の結果を最終的に見直しましょう。
仕事の隙間時間で勉強していると、知識が断片的になっている場合や、過去に勉強した単元の記憶が曖昧になっている場合があります。

頻出問題や間違った問題を中心に全て最初から見直しましょう。
そして、忘れていた部分や再度解けなかった問題は、「試験会場持ち込み用最終ノート」に全てメモをしましょう。

試験直前の緊張した時間帯でも、自分の手書きの文字はすんなりと頭に入ってきます。
そして、文字を通して、今までの努力や頑張りが脳裏にフィードバックしてくるでしょう。

最終的に合格を掴み取るのは、自分自身の信念なのです。

最後1週間で仕事のことや転職への不安など雑念は捨て去り、合格するマインドに気持ちを切り替えて、試験会場に向かいましょう。

まとめ

ひとつの会社に定年まで働き続けることが難しくなってきた近年、想定しない退職という不安要素を回避して、生活基盤を維持するためには、地方公務員という選択肢は十分検討の余地があると言えます。

まずは、ご自身が住み続けたい自治体での採用情報をチェックしてみましょう。
そして、中途採用情報にソワソワする気持ちが湧いてきた場合は、積極的に行動してみることが大切です。

さらに、確実に合格を目指すモチベーションが湧いてきた場合は、通信教育や予備校を活用し、プロや仲間の力を借りる手段も有効です。

公務員はチャレンジに値する素晴らしい職業ですので、我こそはと思われた方はぜひチャレンジしてみましょう。
応援しています!

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この記事を書いた人

IT系企業で20年、地方公務員として8年勤務。
システムエンジニア、プロジェクトマネージャー、IT関連研修の講師など多くの職務経験/キャリアアップと節約により貯蓄を増やしてコツコツ投資して資産を形成し、セミリタイア実現/ブログで女性のキャリアアップや資産形成に関するノウハウを情報発信♪

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